税務調査手続「質問検査権」


平成25年1月、税務調査の手続きを定めた国税通則法の規定が施行され、税務調査手続に関する運用上の取扱いが法令上明確にされました。

そこで今回は、納税者があらかじめ知っておいたほうが良い知識として、税務調査手続きの流れ、国税当局の権限、納税者の権利に関してまとめてみました。

参考資料:税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)

1.質問検査権の法的性格

  • 国税当局は質問検査権を法的根拠として実地の調査を実施します

  • 納税者は、国税当局の質問検査に対する受忍義務・答弁義務を負うとされ、その履行を間接的心理的に強制されています

  • 質問検査に応じない場合、罰則規定があります

2.質問検査権の行使の内容

  • 「質問」・「検査」

  • 物件の「提示」・「提出」の求め

3.物件の「提示」又は「提出」とは

  • 「物件の提示」とは、国税職員の求めに応じ、遅滞なくその物件の内容を国税職員が確認できるように示すことをいいます。電磁的記録の場合は、ディスプレイ画面上に示します。

  • 「物件の提出」とは、国税職員の求めに応じ、遅滞なく国税職員にその物件を渡すことをいいます。電磁的記録の場合は、プリントアウトして渡すか、国税職員が持参した電子媒体にコピーして渡します。

4.提示・提出の対象となる「物件」

(帳簿書類)

  • 仕訳帳・総勘定元帳・棚卸表・貸借対照表・損益計算書

  • 資産・負債及び資本に影響を及ぼす一切の取引に関して作成された帳簿

  • 決算に関して作成されたその他の書類

  • 取引に関して相手方から受け取った注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・その他これらに準ずる書類及び自己が作成したこれらの書類

(その他の物件)

  • 金銭・有価証券・棚卸商品・不動産(建物・土地等)・帳簿書類の基礎となる原始記録・電子帳簿保存法に規定するパソコン・プリンター・操作マニュアルなど

5.質問調査権を行使できる相手方

  • 納税者だけでなく、納税者の取引先も含まれます(反面調査)。

6.罰則規定

  • 「検査忌避」又は「提示・提出要求拒否」に対しては、「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」の罰則規定があります。また、行為者だけでなく事業者にも罰金が科されます(両罰規定)。


以下、補足情報

(検査忌避)
当該職員の質問に対し

  • 答弁せず

  • 偽りの答弁

  • 検査、採取、移動の禁止、封かんの実施を拒み、妨げ、もしくは忌避した場合

(提示・提出要求拒否)

  • 物件の提示・提出の要求に対し、正当な理由がなく拒否した場合

  • 偽りの記載もしくは記録した帳簿書類その他の物件(その写しを含む)を提示し、もしくは提出した場合

(正当な理由)

  • 提示・提出を求めた帳簿書類等が、災害等により滅失・毀損するなどして直ちに提示・提出することが物理的に困難な場合など

(業務上の秘密)
業務上の秘密に関する帳簿書類であっても提示・提出を拒むことはできない。

  • 医師・弁護士など職務上の守秘義務が課せられている場合

  • 宗教法人のように個人の信教に関する情報を保有している場合

一方、事務運営指針には「罰則があることをもって強権的に権限を行使することは考えておらず、帳簿書類等の提示・提出が必要とされる趣旨を説明し、納税義務者の理解と協力の下、その承諾を得て行う」と規定されています。