法人化の節税効果(法人へ所得分散)


法人化の節税効果(法人へ所得分散)

法人化のメリットは節税効果にありますが、その手段の一つに、所得を法人に分散して節税する方法があります。

所得税は7段階の累進税率で最高税率は45%です。一方、法人税は中小法人の場合は2段階税率で最高税率は23.4%です。そのため、法人の所得を全て役員給与として受け取らずに一部を法人に留保すると、所得税と法人税のトータルの税負担額が軽減されるケースがあります。それが所得を法人に分散して節税する方法です。

検討の前提として、経営者は1名で「広島市に住む40歳未満の独身、単身世帯の事業者、所得控除は社会保険料控除と基礎控除のみ」とし、法人は中小法人とします。

また、個人の税負担額は「所得税・市民税・県民税・本人負担分の健康保険料の合計額」とし、法人の税負担額は「法人税・地方法人税・法人市民税・法人県民税・法人事業税・地方法人特別税の合計額」とします。

検討では、法人の所得を10万円刻みにし、税負担額が軽くなるように個人と法人に分散してみました。そうすることで法人の所得に対して税負担額が最小となる役員給与の金額が分かります。

(単位:円)

法人所得(役員給与控除前)

役員給与

法人に留保

11,400,000

11,400,000

0

15,900,000

11,400,000

4,500,000

20,000,000

12,000,000

8,000,000

30,000,000

15,900,000

14,100,000

40,000,000

18,400,000

21,600,000

50,000,000

20,100,000

29,900,000

役員給与控除前の法人所得が1,140万円までは全額役員給与で受け取るほうが有利です。その後、1,590万円までの450万円は全額法人に留保するほうが有利です。2,000万円では役員給与と法人留保の割合が6:4にまで接近し、3,000円超になると割合が逆転します。

税負担額だけが役員給与の金額を決定する判断基準ではありませんが、その一つとして知っておいて損はないでしょう。また、法人に留保した資金は個人的に使うことはできませんから、その使い道を事前に考えておく必要があります。再投資に利用するのも一つですし、退職金として個人に還流させるのも一つだと思います。

(この検討は平成29年11月時点の法令に基づいて計算しています。法令が変更になれば結論が変わることがあります。)