内部格付制度


銀行は、債務者である中小企業を「自己査定」することで融資姿勢を決定します。自己査定では債務者格付による債務者区分が行われます。債務者格付はデフォルト確率を基礎として行われます。そしてデフォルト確率は次の手順で推定されます。

1.決算書の「表面財務」に「実態財務」を反映させて財務指標をノッチ調整する
2.デフォルト事象と関連の高い財務指標を選択する
3.選択した財務指標を、財務定量モデルに当てはめてデフォルト確率を推定する

まず、各企業を統一的に評価するために、実態財務の反映が行われます。具体的には、決算書の表面的な数字に次の修正を加えます。

・不良資産や減価償却不足額を資本から控除する
・代表者(役員)からの借入を自己資本とみなす
・固定化した短期借入金を長期借入金とみなす など

次に、企業のデフォルト事象(破たん)と関連が高い財務指標を選択します。

・規模(自己資本額、純資産額 等)
・安全性(自己資本比率、流動比率、経常収支比率、有利子負債償還年数、インタレスト・ガバレッジ・レシオ 等)
・収益性(総資本経常利益率、売上高営業利益率 等)
・成長性(増収率、増益率 等)

そして、選択した財務指標を次に掲げる財務定量モデルに当てはめてデフォルト確率を推定します。

・経験モデル(企業の財務指標、定性項目等に、経験に基づく信用スコアを配点し、合計スコアによって信用度を判定するモデル)
・統計モデル(企業の財務指標、定性項目等を使って、企業のデフォルトを統計的に最もよく説明する関係式を導くモデル)

これらの手順を制度化したものを内部格付制度といいますが、内部格付制度は金融検査マニュアルで画一的に決められているわけではありません。金融検査マニュアルでは、各々の金融機関がそれぞれの規模や顧客層、目的に合わせて独自に制度を構築することを要求しています。

各々の銀行がどの財務指標を選択し、どういう財務定量モデルに当てはめてデフォルト確率を推定しているかは非公表となっています。そのため、中小企業がデフォルト確率を低く推定してもらうためには、同規模同業他社の財務指標と比較してまんべんなく優位な状況を保つ必要があります。つまり、中小企業が安定した資金調達を望むならば、財務指標をよりよく保つ努力が必要であり、財務指標をよりよく保つには財務のスキルが必要なのです。