「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」の資金調達力


「破綻懸念先」とは、実質債務超過に陥っており、業況が著しく低調で貸出金が延滞状態にあるなど、元本及び利息の最終の回収について重大な懸念がある債務者をいいます。

「実質破綻先」とは、法的・形式的な経営破綻の事実は発生していないものの、財務内容において多額の不良資産を内包し、あるいは過大な借入金が残存し、実質的に大幅な債務超過の状態に相当期間陥っており、元本又は利息について実質的に長期間(6か月以上)延滞している債務者をいいます。

「破綻先」とは、法的・形式的な経営破綻の事実が発生している債務者をいいます。

「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」に区分された企業に対する正常な運転資金の貸出金は、Ⅰ分類債権に債権分類することが認められていません。よって、これらに区分された企業は正常な運転資金を調達することができません。

また、一般保証及び一般担保を拠り所として資金調達することもできません。これらに区分された企業に対する一般保証及び一般担保を拠り所とした貸出金は、Ⅱ分類債権以下に債権分類されるため、貸倒引当金を30%~100%積まなければならず、融資に合理性がないからです。

一方、優良保証・優良担保・特定財源を拠り所とした資金調達は可能です。ただし、優良保証は融資の入り口で利用することがほとんどであるため、この段階で新規の優良保証を付けることはほぼ不可能です。また、優良担保と特定財源は自己資金とほぼ同義です。

結論として、「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」に区分された企業は、実質的には資金調達力がありません。通常の営業活動に必要な資金や設備資金を自己資金で賄わなければならないのです。

この段階に陥ると、通常の財務改善の手法が通用しなくなります。企業単独の努力でこの段階を脱することはできず、銀行等利害関係者の協力なしには財務改善の計画を立てることすらできない状態といえます。