貸出条件緩和債権


貸出条件緩和債権とは「債務者の経営再建又は支援を図ることを目的として、金利の減免、利息の支払猶予、元本の返済猶予、債権放棄その他の債務者に有利となる取決めを行った貸出金」をいいます。

また、中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針では、元本返済猶予債権のうち、貸出条件緩和債権に該当するものとして「当該債務者に関する他の貸出金利息、手数料、配当等の収益、担保・保証等による信用リスク等の増減、競争上の観点等の当該債務者に対する取引の総合的な採算を勘案して、当該貸出金に対して、基準金利(当該債務者と同等な信用リスクを有している債務者に対して通常適用される新規貸出実行金利をいう)が適用される場合と実質的に同等の利回りが確保されていない債権」としています

具体的には次の手順で貸出条件緩和債権に該当するか判断します。

1.債務者の支援を目的としているか
2.基準金利が適用されているか
3.個別の債務者に対する取引の総合的な採算が取れているか
4.合理的で実現可能性の高い経営改善計画が策定されているか

以下、詳しく見ていきます。

債務者の支援を目的としていない場合は、そもそも貸出条件緩和債権に該当しません。たとえば次のようなケースが考えられます。

・正常な運転資金を短期貸出にて同一条件で反復継続している貸出金
・正常先の債務者に対する条件変更
・他の金融機関との競争上の観点から決定された条件変更
・当初約定時点から基準金利を下回る金利が適用されている場合

債務者の支援を目的とした条件変更であっても、基準金利が適用されていれば、貸出条件緩和債権には該当しません。

基準金利とは、貸出条件緩和債権の判定対象となる要注意先の債務者について、デフォルト確率を適切に反映した複数の区分を設け、それぞれの区分に応じた新規貸出約定金利を貸出金額で加重平均することで算出される金利をいいます。

条件変更をした時点で基準金利が適用されており、貸出条件緩和債権に該当しないとされた債権に関しては、その後、金融情勢等の変化により基準金利が上昇したことによって基準金利を下回ることになっても、自動的に貸出条件緩和債権と認定されることはありません。

債務者の支援を目的とした条件変更であり、表面上は基準金利が適用されていない場合であっても、個別債務者に対する取引の総合的な採算が取れていれば、貸出条件緩和債権に該当しません。

総合的な採算が取れているとは、①担保・保証によって信用リスク等が減少している場合や与信期間の差異によって信用リスク等が減少している場合に、減少後の信用リスク等に見合ったリターンが確保されていること、②競争上の観点から信用リスク等に比べて金利が低く設定されていること③他の貸出金利息、手数料、配当等の収益によって信用リスク等に見合ったリターンが得られていること、をいいます。

逆に、表面的には基準金利が適用されている場合であっても、総合的な採算を勘案した結果、信用リスク等に見合ったリターンが得られていないと認められる場合は、貸出条件緩和債権に該当します。

債務者の支援を目的とした条件変更であり、総合的な採算を勘案した結果、基準金利が適用される場合と実質的に同等の利回りが確保されていないと認められる場合であっても、債務者が合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画を策定している場合は、貸出条件緩和債権に該当しません。

合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画とは、①計画の実現に必要な関係者との同意が得られていること、②計画における債権放棄などの支援の額が確定しており、当該計画を超える追加的支援が必要と見込まれる状況でないこと、③計画における売上高、費用及び利益の予測等の想定が十分に厳しいものとなっていること、④計画期間が概ね5年以内(計画期間が5年超10年以内で計画通りに進捗している場合も含む)であり、計画終了後の債務者区分が正常先となること、を充足する計画をいいます。

中小・零細企業の場合は、合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画を策定していない場合であっても、今後の資産売却予定、役員報酬や諸経費の削減予定、新商品等の開発計画等のほか、中小企業の技術力、販売力、成長性を総合的に勘案し、中小企業の実態に即して金融機関が作成した経営改善に関する資料がある場合には、貸出条件緩和債権に該当しません。

現行の金融検査マニュアルでは、貸出条件緩和債権に関する幾重もの救済策が用意されています。銀行としても自行の債権を貸出条件緩和債権に極力該当させたくないと考えています。この点で銀行と中小企業の利害は一致しています。銀行から矢継ぎ早に問い合わせが来ることがありますが、御社に対する債権を貸出条件緩和債権にしないために努力しているのかもしれません。銀行からの問い合わせには真摯に、スピード感を持って対応していくことが重要です。