ABL 債務者企業の義務 コベナンツ


コベナンツ(誓約事項)とは、融資期間中、債務者(企業)が債権者(金融機関)に対してしなければならない行為、あるいは、してはならない行為を誓約することをいいます。コベナンツはそれ自体が担保や保証の代わりになるものではなく、債務者の異常値を早期に認識し、改善のきっかけとすることで間接的に債権保全に役立つものと考えられています。一方、コベナンツ抵触時には期限の利益喪失事由となるなど強い効力を持っているため、決して軽視することはできません。ただし、債権者(金融機関)と債務者(企業)の負担する義務のバランスが崩れた条項は「公序良俗違反」「優先的地位の濫用」等の理由で無効と理解されているため、必要以上に神経質になる必要もありません。以下、コベナンツの事例を掲げます。

1、財務制限条項
財務制限条項とは、次に例示される財務指標の一定水準以上の維持を求めるものです。

  • 自己資本比率

  • 経常利益

  • インタレスト・カバレッジ・レシオ

  • 一定額以上の在庫の維持 など

2、報告条項

  • 定期的な(月次または数か月ごとの)貸借対照表、損益計算書および資金繰り実績表の提出

  • 各月末時点における各取引金融機関に対する預金及び借入残高の一覧表の提出

  • 各事業年度の決算書類(計算書類・付属明細書・確定申告書)の提出

  • 会社財産、経営または業況についての報告書の提出

3、届出条項・承諾条項

  • 代表取締役の変更(承諾条項)

  • 利益配当(中間配当を含む)、減資又は自己株式の買入・消却

  • 役員賞与の支給、役員退職慰労金の支給

  • 一定額以上の役員報酬の支給

  • 他の債権者への担保提供の制限

これらのコベナンツは、全てが要求されるわけではなく、個々の債務者(企業)の状況に応じて債権者(金融機関)との綿密な相談の上、柔軟に設定されることとなります。