ABLの意義・位置づけ


不動産担保や個人保証に過度に依存した旧来型の融資手法では、中小企業の資金調達、特に成長企業の資金調達をサポートすることの限界が強まっています。

  1. 年一回の自己査定で中小企業の資金調達力(貸出上限、金利等)が決められるため、それから1年間の増加運転資金需要に対して、必ずしも柔軟に対応できないケースがある。
  2. 不動産価格の上昇が必ずしも約束されていない時代となり、成長企業の資金需要に不動産担保が追いつかないケースがある。
  3. 個人保証は個人の財産に依存した保全であるため、そもそも担保力としては大きな金額を望めない。
  4. 金融機関の融資スタンスは、不良債権を抑制する観点から景気変動に敏感に反応するため、景気後退期に成長する企業の資金需要に応えることが難しい。

 

そのため、中小企業の有する動産・債権等の資産の活用や、事業が生み出すキャッシュフロー、事業の将来性に基づいた資金調達手法など、融資手法の多様化が課題となっています。

ABLは、事業収益資産に着目し、これを評価・管理し、柔軟に与信枠を設定する融資手法です。ABLには、個々の企業の事業規模や収益性に応じて、成長のために必要な資金量の確保を含めて、随時・安定的な資金調達を可能にするというメリットがあります。

米国ではABLが非常に普及しており、平成16年末のデータで総借入残高1兆9436億ドルに対してABL残高3621億ドルと19%を占めています。日本においても米国並みにABLが普及するとすれば、ABLの潜在的市場規模はおよそ78兆円と試算されています。

平成25年4月、日銀は2年で2%の物価上昇目標を掲げ、量的・質的金融緩和を実施しました。この政策は、ポートフォリオ・リバランス効果を期待したものでしたが、平成25年9月時点の銀行預貸率は上昇の兆しを見せておらず、銀行が中小企業への貸出に慎重な姿勢を継続していることが伺われます。ABLのスキームは、中小企業への貸出を増加させるための一つの処方箋であることから、今後、政府・日銀の強い後押しを受ける形でより一層の活用が見込まれます。