代替的な融資手法

まず、主たる債務者が現状において経営状況の要件をほとんど充たしていない場合には、保証人が保証債務を負担するのはやむを得ない、というのがガイドラインの考え方です。

一方、主たる債務者が現状において他の経営状況の要件を充たしているものの、ガバナンスが十分でない場合は、「代替的な融資手法」を活用して、実質的に保証債務の負担をしない方法があります。ガイドラインでは、代替的な融資手法として次の4つが例示されています。

① 停止条件付保証契約
・ 特約条項に抵触しない限り、効力が発生しない保証契約
② 解除条件付保証契約
・特約条項を充足する場合は、効力を失う保証契約
③ ABL
・在庫や売掛金などを担保とする融資手法
④ 金利の上乗せ
・信用リスクに見合った適切な金利を設定する融資手法

停止条件付保証契約、解除条件付保証契約、ABLは、債権者たる金融機関が主たる債務者のガバナンスを補完することで経営規律を維持し、経営者保証に代替させる方法です。

また、金利の上乗せは、信用リスクに見合った適切な金利設定という、銀行本来の考え方に基づく方法です。しかし、経営者保証に代替させる金利水準は相当に高くなると考えられるため、実務的ではないかもしれません。

特約条項の内容は、経営者に対する牽制機能を重視したものとなっており、本来ならば取締役会や監査役によって吟味される内容となっています。

具体的には、法令順守の状況の報告、財務内容の報告、重要な資産や事業の譲渡に関する事前承認などがその内容となっています。

例えば、停止条件付保証契約を締結している状況で事業再生に至った場合でも、それまでに特約条項に抵触していなければ、保証債務を負担することはないのですか?

その通りです。ですので、実質的に保証債務を負担しない方法という表現がピッタリだと思います。

よく分かりました。会社内部でガバナンスが機能しにくい場合は、金融機関にガバナンスを補完してもらうことによって、保証債務を負担しない方法もあるということですね。

ところで、保証債務を負担せざるを得ない場合に注意することはありますか?

はい。主たる債務者が経営状況の要件を充たしていない場合には、保証契約することに一定の合理性がある、というのがガイドラインの考え方ですが、保証契約する場合には、丁寧かつ具体的な説明などを債権者に求めています。

次に、保証契約時の確認事項に関して説明します。

前のページ「経営状況の要件」  次のページ「保証契約時の確認事項」