事業承継時の取扱い

事業承継時に、前経営者が既存の保証契約の解除を希望する場合には、次の要件を充たす必要があります。

  • 代表者から退く・支配株主から退く・実質的に経営から退く・報酬等を受け取らないなど、実質的な経営権・支配権を手放すこと

  • 主たる債務者から社会通念上適切な範囲を超える借入を行っている場合は、これを返済すること

  • 債権者にとって、既存債権の保全が乏しい場合には、後継者等から担保提供してもらうこと

完全にリタイヤしない限り、保証契約を解除できないということですよね・・・。第一線からは退くものの、生涯現役を考えている経営者の方も多いのではないでしょうか?それまでに築き上げた人間関係や収入がいきなり途切れてしまうのは、なにか寂しいような気がします・・・。

その通りだと思います。人間関係や収入を維持しながら、第一線を退きたいと考えている経営者は多いと思います。事業承継後の前経営者の処遇を考えると、遅くとも事業承継までには保証契約を解除することをお勧めします。保証債務を負担していなければ、それまでの地位や人間関係、収入を当然に維持できます。まさに、ハッピーリタイヤを体現することが可能なのです。

事業承継後の前経営者の処遇を考えると、保証契約の解除は経営目標にすらなり得る、という意味が良く分かります。

ところで、後継者に関しては、事業承継時にどのように対応すれば良いのでしょうか?

前経営者が保証債務を負担している場合、実務的には債権者から保証債務の引継ぎを求められるケースがほとんどだと思います。その場合、後継者は保証債務を引き継がざるを得ません。さらに、前経営者が保証契約の解除を希望する場合に、担保提供を求められることがあります。また、後継者が保証契約の解除・変更を希望する場合は、経営状況の要件を充足させる必要があります。

経験豊かな経営者ならともかく、若くてこれからの後継者にとっては腰が引けてしまいそうな内容ですね・・・。

その通りなんです。帝国データバンクの調査(2013年)によると、オーナー企業の69%が後継者不在であり、65歳以上のオーナー社長の49%が後継者問題を抱えています。オーナー社長からしてみれば、ご子息が後継者として会社を継ぐのは当たり前だとお考えになっているかもしれません。しかし、ご子息にとっては、事業承継の心理的ハードルが高いのが現状です。

一方、前経営者が保証債務を負担していない場合は、債権者から保証債務の負担や担保提供をもとめられることは、まず、ありません。保証契約を解除することで、後継候補者の心理的ハードルを下げることは可能なのです。

保証債務を負担していなければ後継者を確保しやすい、というのはこういう理由だったんですね。良く分かりました。

ところで、健全経営されている経営者の方には関係ないことですが、保証債務の整理に関して知っておくべきことはありますか?

最悪の事態を想定して最善を尽くすという考え方は、リスク管理の観点からは大切なことです。次に、保証債務を整理する局面に関して、経営者が知っておくべきことを説明します。

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