
経済産業省が「平成19年度 動産・債権担保融資(ABL)インフラ整備調査委託事業」として行った「動産・債権担保融資(ABL)の普及・インフラ構築に関する調査研究」の報告書(平成20年3月 ㈱野村総合研究所)からABLの事例を紹介します。
<事例1> 北海道ワイン株式会社(ワイン)
① ABLの概要
② 借り手企業の概要
③ スキーム図
④ モニタリング
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月次ベースで在庫情報、財務情報を報告。ワインは酒類として所轄税務署長へ生産数量、販売数量、在庫数量等の報告を義務付けられているため、追加の事務コストは発生していない
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実地調査は半年に一度、サンプル調査
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コベナンツは、財務制限条項、月次での報告義務、一定以上の在庫残高を倉庫内に補完すること等
⑤ 借り手からみたメリット
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資金枠の拡大
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金利抑制効果(TIBORベースの金利設定で、市場金利低下のメリットを享受しやすくなった)
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プレスリリースが良い宣伝となった
<事例2> 株式会社ミックマック(美容器具)
① ABLの概要
② 借り手企業の概要
③ スキーム図
④ モニタリング
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ABL保証の規定に則り、「1か月に1回以上、回収口座への入金状況の確認」
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「3か月に1回以上、棚卸資産の数量等の借り手からの入手、内容確認」
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「1年に1回以上の立入調査」
⑤ 借り手から見たメリット
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在庫を担保に調達した資金を、宣伝用の映像制作およびサーバー設置等マーケティングに投入することができた。
<事例3> 土佐鰹水産株式会社(水産加工)
① ABLの概要
② 借り手企業の概要
③ スキーム図
④ モニタリング
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月次で倉庫にある担保物件の数量を報告
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実地調査は年1回以上
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コベナンツは月次で倉庫にある担保物件の残高報告
⑤ 借り手から見たメリット
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極度額の設定により、原魚の市況、漁獲状況に応じた仕入資金の調達を迅速かつ弾力的に行うことが可能になった
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借入可能額の算出方法が契約に明記されていることから、当社が借入限度額の増減を事前に把握することができ、資金繰りが立て易い
<事例4> 金属製品プレス加工業
① ABLの概要
② 借り手企業の概要
③ スキーム図
④ モニタリング
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月次で、資金繰り表や在庫量・生産量を記録した帳簿を提出する他、位置・時間証明システムを利用して在庫の映像を報告している
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半期に一度、売上等の各種指標の目標値と実績値を分析し、次期の事業方針を提出している
⑤ 借り手から見たメリット
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企業の成長に伴って発生する、増加運転資金需要に対応できる融資スキーム
<事例5> 阪本印刷株式会社(印刷業)
① ABLの概要
② 借り手企業の概要
③ スキーム図
④ モニタリング
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金融機関の担当者が通常業務の一環として訪問した際に目視で確認(月に数回)
⑤ 借り手から見たメリット
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今まで資金繰りに寄与しなかった機械設備を担保として活用し、運転資金を調達できた
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当座貸越枠の設定で、必要な資金を必要な額だけ借入でき、入金即返済となる仕組みは金利負担の面で有利