
法人化の節税効果(配偶者へ所得分散)
法人化のメリットは節税効果にありますが、その手段の一つとして、配偶者へ所得を分散して節税する方法があります。
経営者一人だけで役員給与を受け取ると、一人分の所得控除(給与所得控除と基礎控除)しか受けられませんが、配偶者に所得を分散すると、二人分の所得控除が受けられます。
また、所得税は7段階の累進税率で最高税率は45%ですが、所得分散によって税率が下がります。
一方、配偶者が受け取る給与が一定額を超えると所得税や社会保険料がかかりますが、それを差し引いても節税効果があります。
検討の前提として、経営者は「広島市に住む40歳未満で、所得控除は社会保険料控除・配偶者控除・配偶者特別控除・基礎控除」とし、その配偶者は「広島市に住む40歳未満で、所得控除は社会保険料控除と基礎控除のみ」とします。
また、税負担額は「所得税・市民税・県民税・本人負担分の健康保険料の合計額」とします。
検討は、役員給与控除前の法人所得1000万円の全額を10万円刻みで経営者と配偶者に配分して、二人の税負担額の合計金額を計算してみました。
(単位:円)
経営者給与 |
配偶者給与 |
税負担額合計 |
節税額 |
10,000,000 |
0 |
1,846,792 |
- |
9,500,000 |
500,000 |
1,694,896 |
-151,896 |
9,000,000 |
1,000,000 |
1,543,000 |
-303,792 |
8,000,000 |
2,000,000 |
1,548,040 |
-298,752 |
7,000,000 |
3,000,000 |
1,386,240 |
-460,552 |
6,000,000 |
4,000,000 |
1,291,516 |
-555,276 |
5,000,000 |
5,000,000 |
1,273,968 |
-572,824 |
経営者だけが役員給与を受け取るよりも、配偶者に所得を分散させるほうが節税になることが分かります。
ただし、配偶者に勤務実態(労働実態or企業経営の実態)がなければ給与を支払うことができませんので、配偶者の勤務実態を考慮して配偶者に分散する給与の金額を定める必要があります。
(この検討は平成29年11月時点の法令に基づいて計算しています。法令が変更になれば結論が変わることがあります。)