小さなビジネスをナッジする

税理士の仕事は税金の計算、だけではない。

小さなビジネスをナッジする___私のミッションはこの一言に尽きる。

ナッジ(nudge)は、ノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラーによって有名になった言葉だ。「人々が重要な意思決定をするとき、その自由な選択を阻害しないように配慮しながら、より良い選択に導くデフォルト(初期設定)の選択設計を行うこと」を意味している。ナッジには「より良い選択に導く」という価値観が含まれている。

セイラーはいわゆる「リバタリアン・パターナリズム(自由至上主義かつ家父長制)」の立場を支持しているが、この立場は私の職業上の価値観と全く一致している。

余談だが、リバタリアンと聞いて、ゾンビ映画の「バタリアン」や4コマ漫画「オバタリアン」を連想する方はいないだろうか?リバタリアン(libertarian)は自由至上主義者を意味する一方、バタリアン(battalion)は大群を意味する。スペルの違いは日本語では分からないので、私はどうしても滑稽なゾンビの姿が頭に浮かぶ。
パターナリズム(paternalism)とは、強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益のためだとして、本人の意志は問わずに介入・干渉・支援することをいう。そういう意味で、純粋なパターナリズムはおこがましく、おぞましい。

あなたが小さなビジネスを経営していると仮定しよう。

あなたのビジネスなので、利益も損失も全てあなたが引き受けるほかない。だから、あなたの経営判断は最大限尊重されるべきだと私は考えている。

一方、あなたの知識やスキルは、自分のビジネス関連に偏っているのではないかと推測する。あなたは自分のビジネスの全ての過程に責任ある立場で関わっているため、節税や経営を勉強する時間も気力もないのではないか、と思うのである。

もしあなたが、インターネットや経営者仲間を情報源として節税や経営の判断基準としているならそれは非常に危険だ。

その理由は3つある。

第一に、インターネットの情報が眉唾なのはご案内の通りだ。税務で100%信頼できるのは国税庁ホームページなど公的機関のページだけだと私は考えている。

もちろん、私のページも眉に唾を付けて読んだほうがいい。

税務行政に疎い納税者の中には、「確定申告書を提出すれば、税務職員がすぐさま精査して問題点があればすぐに連絡があるはずだ」と考え「連絡がないということは、正しかったのだ」と判断し、インターネットで紹介する人がいるが、実際の税務行政はそうなっていない。

税務当局は、問題点を把握していてもその都度指摘することはしない。数年分をまとめて税務調査するほうが効率的だからだ。また、税務的ないわゆる時効は確定申告書の提出期限から5年だが、時効を過ぎても確定申告書の正しさは保証されない。ただ単に否認されなかったという事実が残るだけだ。

第二に、その手の情報は否認されていないことをもって是認されたと主張されることが多い。税務で明確に是認されるケースは狭く限定されている。ほとんどのケースはグレーゾーンで否認されてないだけの話である。その中で、信ぴょう性が高く価値があるのは、税務調査の論点となって否認されなかった事例だけだ。それ以外の事例は判断基準にならない。税務調査を受けていない場合などは論外だ。

第三に、税法は納税者の個別具体的な事情を基にその適用の可否を判断する。経営者仲間やインターネットで是認された事例があなたのビジネスで否認されることは普通にある。業種や業態その他あなたのビジネス固有の事情がその他のビジネスと異なることは普通にあるからだ。

例えば、私の顧客にイラストレーターがいる。毎月、膨大な金額のゲームやアニメ、映画のコンテンツを購入しているが、私はすべて経費計上している。流行の画風やストーリー展開などを自分の作品に取り入れるための基礎資料であり、収入に直結する必要経費と税務判断しているからだ。この事例はすべてのイラストレーターに当てはまるだろうか?それはNOだ。収入に関係ないコンテンツの購入が必要経費になるわけがない。収入に直結していない支出は必要経費にならないのだ。

ゲームやアニメ、映画のコンテンツ購入が必要経費になるケースがある、と聞いただけで驚きではないだろうか?さらに、同じ職業でも必要経費になるケースとならないケースがあると聞けば、もう理解不能かもしれない。繰り返しになるが、税法は納税者の個別具体的な事情を基にその適用の可否を判断する。その雰囲気だけでも理解してほしい。

税務以外の銀行融資や事業計画などの経営スキルに関しても、あなたのビジネス固有の事情を勘案せずにうまくいくことはまれだ。その他のビジネスの成功事例がそのままあなたのビジネスに当てはまるとは限らないのだ。

もし、思い当たる節があるなら、あなたの意思決定は、経済合理性ある意思決定ではないかもしれない。

経済合理性とは「論理的に判断して経済的な利益が得られること」を指すが、節税や経営に関して経済合理性ある意思決定なしにビジネスを成長させることができるだろうか?それどころか、ビジネスを継続させることができるだろうか?

あなたには助けが必要ではないだろうか?

だから、私はあなたをナッジしたいと考えている。具体的なナッジの手法は次の通りだ。

税務や経営に関しても定石が存在する。定石とは囲碁や将棋で「証明済みの最善手順」を意味するが、定石がある事柄に関してはそれをデフォルトの選択肢としてあなたに提案する。定石がない事柄に関しては、長期的な観点からあなたのビジネスを継続させる選択肢をデフォルトの選択肢としてあなたに提案する。

セイラーは、「ナッジを提供する人が専門知識を持っており、ナッジを受ける人の選好を簡単に推測できるとき」有用なナッジを提供できる可能性が高いと説明している。

あなたは自分のビジネスに関して次にように考えているのではないだろうか?
・自分のビジネスを成長させたい
・自分のビジネスを継続させたい
・豊かになりたい
・税金は少ないほうがいい
・顧客、従業員、家族から感謝されたい
・ビジネスの成功者と言われたい

もし、概ね正解ならあなたの選好は簡単に推測されたことになる。つまり、私はあなたに有用なナッジを提供できる可能性が高いのだ。

さて、ナッジについてはご理解いただけたと思う。

では、小さなビジネスとは何だろう?もちろん、明確な定義がある。

「小さなビジネス」とは、あなたに全てを依存しているビジネスをいう。あなたがビジネスの全ての過程に責任ある立場で関わっている状態で、あなたなしには立ち行かないビジネスのことだ。売上高の大小、従業員の多寡は問わない。

対義語となる「大きなビジネス」の定義を述べればより明確になるかもしれない。「大きなビジネス」とは、あなただけでなく複数の幹部社員にも依存しているビジネスをいう。担当役員、事業部長、支店長、営業所長の類がいて、あなたなしでも会社が回るビジネスのことだ。

では、なぜ「小さなビジネス」か?と思われるだろう。

「小さなビジネス」の夢は一つである。あなたをナッジすれば、ビジネス全体をナッジできるので、より成功に導きやすい。様々なビジネスを疑似体験できるのが税理士の醍醐味だと私は考えているが、ダイレクトに達成感を味わえるのが小さなビジネスだ。あなたの成功が私のやりがいだといえばご理解いただけるだろうか。

一方、大きなビジネスでは、あなたをナッジすることはできても、あなたのビジネス全体をナッジすることは経験上不可能だと考えている。エージェンシー問題としてよく知られた話だが、あなたと幹部社員とで利益相反することは珍しくないはずだ。つまり、御社の夢は一つでない、ということである。御社の社内政治に巻き込まれるのは今となっては少々面倒だと考えている。(機会があれば別の稿で私の経験を紹介できればと思う)。

最後に、ナッジを提供するタイミングに言及してこの稿を締めたい。

助言は「招かれざる客」と言われるように、あなたに興味がなかったり、時期を失しているときは役に立たないばかりか、迷惑なことだと理解している。

だから私は「必要なタイミング」が来るまで待っている。その手段として記帳代行があると考えている。記帳代行をし始めて2~3年経つとあなたのビジネスの状況やその変化がある程度理解できるようになるからだ。

とはいえ、必要なタイミングの精度を上げるにはあなたの協力も欠かせない。

例えば、私はネット通販ビジネスに詳しい。それでも、顧客のビジネスを5割程度しか理解していないと考えている。業種的な共通要素が2割、顧客固有の情報が1割、記帳代行で得られる情報が2割である。あなたのビジネス環境の変化の情報が残り5割を占めている。この残り5割の情報があれば必要なタイミングの精度は上がる。あなたのビジネスの推移に関して、私に理解できる言葉で情報発信することはそういう意味で重要なのだ。

余談だが、私はハリーポッターシリーズが大好きでテレビの再放送があると結構な頻度で見ている。ハリーが通うホグワーツのダンブルドア校長が「ホグワーツでは、助けを求める者には、常に助けが与えられるだろう」と言うシーンを見るたびに、税理士もそうありたいものだ、と思う。

本稿のまとめ

もし、あなたのビジネスが小さなビジネスなら、
必要なタイミングで経済合理性ある意思決定に導き、
あなたの成功の一助となりたい。
それが税理士の醍醐味だと考えている。

利益も損失も全てあなたが引き受けるほかないのだから、
決して押しつけることなく、あなたの最終的な経営判断は尊重する。

それが私のミッションだ。

私の基本方針

あなたがこのページにたどり着いた理由は何だろう。何かの記事があなたの興味を引いたのだろうか?それとも、もっと具体的に、あなたは税理士を探しているのだろうか?

もし、あなたが税理士を探しているなら、私がどんな税理士か気になっているだろう。人柄はどうか、専門的な知見やスキルは確かか、費用はいくらぐらいか、具体的に何をやってくれるのか、などである。

あなたの疑問にすべて答えることはできない代わりに、私の基本的な考え方をこの稿で表明したいと考えている。私の基本方針に共感できる場合はきっとあなたと相性が良いのだろう。そうでない場合はスルーすべきだ。ボタンの掛け違いを防ぐには最初が肝心だ。その判断をあなたに委ねたい。

私の権限とは?

最初に、最も重要なことを述べたい。

全ての税理士は当然のことと理解し、大半の顧客は暗黙の了解で理解していることだが、ごく一部の顧客が勘違いしているため、改めて明示しておこうと思う。

あなたが租税の事務を私に依頼する場合、あなたは私の税務判断に従う義務がある。言い換えれば、あなたは税理士の専門性を尊重する義務がある。

「自分で判断できないから依頼するので、むしろ当然」という方がほとんどだ。

しかし、ごく一部に税理士の専門性を軽視している人がいる。例えば、自分の思い通りにならないとアクロバティックな理論を掲げて食って掛かる人だ。自分の素人を丸出しにしてよく言えるなぁ、とびっくりすることがある。あるいは、セカンドオピニオンを持ち出す人だ。税理士のセカンドオピニオンなら拝聴するが、インターネットや経営者仲間の情報ではお話にならない。そういう人は私をスルーすべきだ。私は妥協することがないので、それがその人の経営判断を尊重する唯一の方法だと思う。

私は、税法の枠組みの範囲内で顧客の有利となるように最善を尽くすのが税理士の役割だと考えている。経費にならない支出を経費計上したところで、長い目で見れば、税務調査で数年分をまとめて否認されて加算税まで支払うリスクを背負うことになる。そういうリスクを避けるのが顧客の有利となることは疑いない。私は自分のお役目に忠実なのである。

ところで、あなたが私に租税に関する事務(税理士業務)を依頼する、ということの法律的な意味をご存じだろうか?

税理士業務は3つある。(税理士法第2条)
・税務代理
・税務書類の作成
・税務相談

税理士業務を簡単に説明すると以下の通りだ。
・税務代理
 ・納税者の税務申告を代理代行し、税務当局に対する主張・陳述を代理代行すること
・税務書類の作成
 ・納税者の税務書類の作成を代行すること
・税務相談
 ・納税者の課税所得の計算に関わる事項について相談に応ずること

このうち、あなたが理解すべきなのは税務代理だ。代理とは、ある者に本人に代わって一定の行為を行う権限が与えられている場合に、その者が行った行為の効果が本人に帰属する制度をいう。

つまり、あなたが私に税理士業務を依頼すると、税務に関する行為の代理権を私に付与することになり、私の税務判断の効果があなたに及ぶことになる。

先に「あなたが租税の事務を私に依頼する場合、あなたは私の税務判断に従う義務がある」と述べたが、それはあなたが選択したことなのだ。

それを事前に理解しておいてほしい。

節税に関する方針

節税とは「税法の想定する範囲内で税負担を軽減すること」と私は定義している。顧客の有利となるように節税に最善を尽くすのが私の役割だと考えている。

例えば、化粧品の輸入販売をしている顧客に、海外からの直送を提案したことがある。輸入すると消費税が課税されるが、海外から直送すれば国外取引となるため消費税が不課税となるからだ。この事例は節税の好例だと思う。

因みに、この提案で数百万円の節税となった。

上記の事例のような税制有利選択以外にも所得を分散させる方法や金融商品を使う定石的な手法もある。

ところで、節税は税負担の軽減を目的にしているが、租税の忌避を目的にしていない。所得相応の税負担を許容するのが節税の枠組みだ。そのことはしっかりと理解しておいてほしい。

節税は可処分所得を増やす取り組みであり、所得そのものを増やす取り組みではない。そういう意味で、節税があなたを豊かにすることはない。売上高と営業利益を伸ばすことがあなたを豊かにするのだ。そのことはあなたを始め多くの方が心の中で理解していることだと思う。

逆説的な言い方だが、所得が高い人ほど節税の恩恵を受けるし、同時に多額の税金を支払っている。節税額と納税額は比例関係にあると考えてもいい。

私から改めて言われなくても「税金を払うのは仕方がない」という方がほとんどだと思う。

しかし、世の中には「税金を1円も払いたくない」という発想で節税を捉えている人がいる。その発想は、自ずと租税回避や脱税へ行き着く。

租税回避とは「税法の想定する範囲を超えて租税負担を免れること」と私は定義している。租税回避は合法ではあるものの、税法や課税庁の意図しない方法で行われる点で脱法行為とされる。昨今は脱税だけでなく租税回避も社会的な非難の対象となっており、かつ、税務当局の対応が厳しくなっている、ということは理解しておいたほうがいい。

以前、ある商売をしている人から相談があった。1,000万円程度の年収があり、節税のため外国法人を設立したとのことだ。非居住者となる手口は典型的な租税回避だ。「若いうちに大金を残したいので税金を払わない方法を色々教えてほしい」というのがその人の相談内容だった。「そんな方法は知りませんが、長期的に節税して財産を築くのが節税の王道ですし、堅実な方法だと思います。そう思いませんか?」と聞いてみたところ、「全く思わないですね!」と言い放った。若いうちにがっぽり稼いで税金払わずに悠々自適にやっていきたいと考えているらしい。負担能力(担税力)がありながら、行政サービスの対価を払わない人のことをフリーライダーという。フリーライダーに加担するつもりはないのでさっさと話しを打ち切った。

租税回避が許容されるのは経営の重大局面だけだと私は考えている。どうしても短期的に経営者の退職資金を準備しなければならないとき、租税回避的な金融商品を利用するのはありだと思う。フリーライダーではないからだ。

私は以前、ある会社の経営再建スキームの中で数億円の租税回避をしたことがある。そうしなければ経営破綻する可能性が高かったのでやむを得なかったのだが、それが否認されなかったのは同じ理由だと考えている。

 

脱税とは「租税を不当に免れること」をいう。私が脱税に関わることはないが、納税者の中には脱税と知ってか知らずかそれを依頼してくる人がいる。

以前、転勤で自宅を貸家にした人から確定申告の相談があった。源泉徴収票を見てみると、優良企業に勤めるエリートビジネスパーソンで、40歳で年収が2,000万円あった。家賃収入は年間80万円だったが、鞄からごっそり領収書を取り出して、「できるだけ多く経費を計上したい」と頼まれた。領収書は200万円ぐらいあるとのこと。その言葉通りに処理すれば減価償却費を除いても不動産所得は120万円の赤字になる。給与所得と不動産所得の赤字は損益通算できるので、約51万円の還付金となる。知り合いが同様の手口で多額の還付金を受けたので自分も見習いたいとのことだ。

領収書をめくってみると大半は飲食代や旅行代、家電購入費用など家計費のようだ。

「収入に直結する支出が経費計上できますので、一件一件、その内容を確認させてください。」と申し出ると、顔をしかめて難色を示した。そこで、「あなたはエリートビジネスパーソンでいらっしゃいますが、あなたのビジネスで80万円の収入を得るために200万円の支出をしますか?」と畳みかけるとニヤリと笑った。「税務署も同じように考えるでしょうね。もし、脱税事案とみなされたらあなたのキャリアに傷がつくかもしれませんよ。」といわずもがなのことを言って依頼を辞退した。

税法を軽視すると人生を誤ることがある。某お笑い芸人が無申告で社会的な制裁を受けたことはまだ記憶に新しい。軽い気持ちで架空経費を計上すると、高い代償を支払うリスクがあることは理解しておいたほうがいい。

ITツールの利用に関する方針

私が顧客に合わせてITツールを使いこなすことは物理的に不可能だ。世の中には無数のITツールが存在するからである。だから、顧客に合わせてもらうほかない。

ただし、私としても小さなビジネスが無理なく使えるようにITツールを厳選している。私がITツールを選択する基準は、ユーザー数が多いかどうかだ。ユーザー数が多いツールは下記の特徴を備えているからだ。

・ビジネスに必要十分な機能を備えている
・安全に使える機能を備えている
・ほかのビジネスと連携しやすい
・ほかのクラウドサービス、業務アプリと連携しやすい
・長期安定的に運用できる
・無料もしくは小さなビジネスでも負担にならない料金

具体的に、私が使っているITツールは次の通りだ。(カッコ内は用途)

・Chatwork(通信手段、無料)
・Googleドライブ(データ共有、無料)
・マネーフォワード(会計ソフト、給与計算ソフト)
・エクセル(現金出納帳ほか補助簿)
・PDF(請求書、契約書などの確認用、閲覧は無料)

いずれのツールもメジャーなので、あなたはすでに利用しているかもしれない。仮に利用していなくても、上記のツールは頻繁に利用することになるので、すぐに習得することができると思う。なんの心配も不要だ。

通信手段、面談に関する方針

私はチャットワークをデフォルトの通信手段としているのは先に述べた。私の事務所は15坪ほどだが、職員との間でもチャットでやり取りしているぐらいだ。一定時間集中して仕事に取り組み、仕事の区切りでチャットを確認して必要な対応をし、次の仕事に取り組む、というのが私の基本的なスタイルだからだ。

チャットを使うメリットは3つある。

第一に、自分のタイミングでチャットしても相手の邪魔にならないことだ。相手のタイミングでチャットを確認してもらえばいいからだ。

第二に、テキストで通信するためにメモを取る必要がなく、データを添付できるので必要な情報を端的に伝えることができる。

第三に、じっくり考えて回答する時間が与えられることである。私のビジネスで即答できる要件はまれである。法文を調べたり、熟慮が必要なことが多い。

緊急の場合は電話をかけるほかないが、それ以外で私が電話をかけるのは、入り組んだ内容のときだけだ。その場合でも、電話で話したい旨と都合の良い時間帯を事前にチャットで確認している。それくらい相手に配慮をするのがビジネスマナーだと思うからだ。

チャットはその都度気軽にできるので、顧客とのコミュニケーションは密になる。顧客的には日常的な疑問点、不安点はすぐに解消されるし、私的には顧客の情報を十分に収集できるので、それほど面談の必要性を感じない。通常、顧客との面談は年一回程度だ。数年会っていない顧客もいるぐらいだ。もちろん、顧客の要望があれば快く面談している。

コロナが蔓延して政府がテレワークを呼び掛けたときに、私は何も対応する必要がなかった。すでにテレワークが基本的なワークスタイルだったからである。

一方、あなたが転機のときは面談が必要だ。新しいビジネスを検討している、法人成りを検討したい、設備投資を検討している、銀行融資を支援してほしい、財務改善を支援してほしい、家を買った、などのときである。その時は頻繁に面談することもざらだ。必要に応じて面談するのが私のスタイルである。

なお、面談時は私の事務所にご足労いただくことになる。

通信手段、面談に関しては契約書に盛り込まれるので事前にお知らせしておきたい。

報酬に関して

あなたが最も知りたいことは私にかかる報酬かもしれない。

私は、同一地域の報酬の相場観を大事にしている。同一地域内の小さなビジネスに圧倒的なサービスを提供し、相場の範囲内の報酬をいただくことで、事業の拡大を目指すのが私の事業戦略だからだ。だから、私の報酬は総じて平均的な相場の範囲内に収まっている。さらに、業歴の浅い顧客は負担能力を考えて若干割安な報酬設定となっている。だから安心してほしい。

それだけお伝えすれば十分だと私は思うが、そうでないと思う人は自分の考える予算があって指値を希望する人ではないだろうか?あるいは、とにかく安いほうがいい人ではないだろうか?そういう人は私をスルーすべきだ。

私が提示する見積金額をあなたが許容するなら関与を始めるし、値切られるようならご縁がなかったものと諦めることにしている。価格交渉はしない。

物を買うときに安いほうが良い、というのは理解できる。品質に変わりはないからだ。しかし、何かサービスを依頼するときに値切るのは考えものだ。サービスの品質に影響すると思うからだ。だから私は諦めることにしている。ネガティブな感情を持って顧客と付き合いたくないからだ。できれば爽やかにお付き合いしたい。

関与を辞退している人

馬が合わない顧客と付き合うのは経験上困難だ。そういう意味で、あなたが税理士を選ぶのと同じように、私も顧客を選びたいと考えている。すなわち、馬が合わない人に選ばれないという形で顧客を選びたいと考えている。

第一に、税理士の専門性を軽視している人は私をスルーすべきだ。

第二に、租税回避や脱税を期待している人は私をスルーすべきだ。

第三に、「私はお金を払う立場だから自分の好きにさせてもらうよ」という人は私をスルーすべきだ。私は丁寧で爽やかな顧客対応を心掛けているが、横柄な人を許容できるほど商売人ではない。

第四に、「自分の都合にひたすら合わせてくれるのが親身な対応だ」と考えている人は私をスルーすべきだ。世間一般ではそれを「わがまま」とか「甘え」という。世間を所与のものとして自分を変化対応させていくのが世渡りだと私は考えている。
自分の都合いいように判断が歪められる現象のことを心理学的に「自己奉仕バイアス」という。

第五に、ずぼらな人や経理を軽視している人は私をスルーすべきだ。ずぼらで怠慢な人の面倒を見る気は全くない。個別業務の受託方針で述べている通り、私は毎月月次決算をすることを基本的なサービスとしている。そういう人に私が提供するサービスは勿体ないと思う。そして、そういう人の業績は決まって悪い。関与し甲斐がないのだ。ただし、今から経理をきちんとしたいと考えている方には関与する余地がある。厳しい条件付の関与となるが、業績が上向くこと請け合いである。