事業者の設定【マネーフォワードクラウド会計・クラウド確定申告】
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事業者設定のポイント
☐ 設定画面を開く
ホーム画面>各種設定>事業者
(税理士との契約について)
☐ 税理士との契約状況
ほかの機能と連動していないので設定しなくてOK
法人
(基本設定)
☐ 会社名
右上のアカウント名に表示されるほか、決算書の表紙に表示されるので正式名称を入力する。
☐ 担当者名、電話番号
ほかの機能と連動していないが、必須項目なので適当に入力する。
☐ 申告区分
ほかの機能と連動していないが、必須項目なので適当に選択。青色申告承認申請をしている場合は青色申告を選択。
個人事業主
(基本設定)
☐ 事業者名
右上のアカウント名に表示される。
個人名、屋号などを入力する。
☐ 氏名、電話番号
ほかの機能と連動していないが、必須項目なので適当に入力する。
☐ 申告区分(提出書類)
一般、不動産、一般と不動産の3つの選択肢がある。一般は、小売業など事業所得のみの事業者が選択する。不動産は、賃貸収入など不動産所得のみの事業者が選択する。一般と不動産は、事業所得と不動産所得の両方がある事業者が選択する。不動産を選択すると、不動産所得用の勘定科目が追加される。
☐ 申告区分
「所得税の青色申告承認申請書」を所轄税務署提出済みで申請書に記載された年分以後の会計期間は青色申告を選択する。それ以外の方は白色申告を選択する。
法人・個人共通
☐ 業種区分
消費税の課税形式で簡易課税を選択した場合の事業区分と連動している。
おもな業種を一つ選択。
業種の補足情報はほかの機能と連動していないので入力しなくてOK。
☐ 都道府県、従業員数
ほかの機能と連動していないが、必須項目なので適当に選択する。
☐ 製造原価科目の利用
製造原価科目は、製造業、建設業のうち原価管理する法人が利用する。
材料費や外注費が発生しない一人親方などはチェックする必要なし。
チェックして保存すると、残高試算表と決算書に製造原価報告書が追加される。
また、勘定科目の設定画面に製造原価科目の設定画面が追加される。
一度選択すると元に戻せないので、製造業、建設業以外の方は安易にチェックしないこと。
☐ 詳細情報の追加
ほかの機能と連動していないし、任意項目なので入力しなくてOK。
法人
(会計期間)
☐ 会計期間
設立初年度だけ気を付けて設定する。期首の日付は、履歴時効全部証明書の会社成立の年月日。期末の日付は、定款に定めた事業年度末日。2年目以降は自動更新されるので、会計期間を変更しない限り設定不要。
個人事業主
(会計期間)
☐ 会計期間
個人の会計期間は暦年と決まっているので設定不要。
法人・個人共通
(電子帳簿保存法)
☐ 帳簿保存
電子帳簿保存法において「優良な電子帳簿」を作成・保存している場合は過少申告加算税が5%軽減される制度がある。これは義務ではなく任意の選択。
「優良な電子帳簿」は、「特例国税関係帳簿」に関して「訂正削除履歴を保存すること」、「帳簿間の相互関連性を明らかにすること」、「検索機能を確保すること」の3つの要件を充たして作成保存されている必要がある。
「特例国税関係帳簿」とは「仕訳帳」、「総勘定元帳」、「その他必要な帳簿」とされており、マネーフォワードを利用すれば、「仕訳帳」と「総勘定元帳」に関して要件を充たすことが可能。
一方、「その他必要な帳簿」とは売上帳、仕入帳、経費帳、売掛帳、買掛帳、固定資産台帳ほか、いわゆる補助簿と呼ばれる帳簿のことで、中小企業ではエクセルで作成していることが多いと思う。
エクセルで「訂正削除履歴を保存すること」、「帳簿間の相互関連性を明らかにすること」、「検索機能を確保すること」、この3つの要件を充たすのは不可能ではないが、中小企業の手に負えないほど煩雑になることが予想される。
例えば、「帳簿間の相互関連性を明らかにする」ために、マネーフォワードの「取引No」をエクセルに転記する方法が考えられるが、正確に転記するだけでも膨大な手間がかかる。
また、税務当局が「訂正削除履歴の保存」を要求しているということは、税務調査のときに「訂正削除履歴」を優先してチェックすると想定される。そのため、訂正削除した際にはその理由を説明できる資料を残しておく必要があると考えられる。
個人的な見解だが、過少申告加算税を5%軽減する目的でこれだけの手間をかけるのは、中小企業にとって経済合理性がないと思う。私は顧問先には勧めないし、実際に「優良な電子帳簿」を作成している顧問先はいないのでチェックを外している。
一応、機能の説明としては、「優良な電子帳簿」を作成する場合は「仕訳履歴保存機能を利用する」にチェックを入れる。作成しない場合はチェックを外す。なお、「優良な電子帳簿」を作成する場合は税務署に届出が必要なので、国税庁のHP等を参照してほしい。
☐ スキャナ保存
スキャナ保存は税務的な書類を電子データで保存できるという制度。もちろん義務ではなく任意の選択。
スキャナ保存のメリットは、紙書類の保管スペースが節約できることぐらいだが、その適用要件が非常に厳しいものとなっている。
主な要件として、「書類を受け取って一定期間内にタイムスタンプを付与すること」「帳簿の記載事項との相互関連性を確保すること」「検索機能を確保すること」などがあるが、相当な作業量が予想される。
個人的な見解だが、スキャナ保存は中小企業にとって経済合理性が全くないと思う。私は顧問先には勧めないし、実際にスキャナ保存をしている顧問先はいないのでチェックを外している。
電子データで受け取った書類は義務なので電子データで保存し、紙ベースで受け取った書類は紙のまま保存するのが中小企業にとって効率的だと思う。
一応、機能の説明としては、スキャナ保存をする場合は「スキャナ保存機能を利用する」にチェックを入れる。そうでない場合はチェックを外す。
(消費税)
☐ 課税形式
・課税形式は、大きく分けて、免税事業者、簡易課税、原則課税の3つの選択肢
☐ 課税形式>免税事業者
基準期間の課税売上高が1,000万円以下、かつ
特定期間の課税売上高が1,000万円以下、かつ
インボイス登録事業者でない場合に選択可
基準期間とは前々期のことで、今期が第5期の場合は、第3期が基準期間となり、第3期の課税売上高が1,000万円以下かどうかで判断する。
特定期間とは前期の上期のことで、今期が第5期の場合は、第4期の上期が特定期間となり、その6か月間の課税売上高が1,000万円以下かどうかで判断する。
また、インボイス登録事業者は必ず課税事業者となるのでインボイス登録事業者でないことが要件の一つ。
☐ 課税形式>簡易課税
基準期間の課税売上高が5,000万円以下の課税事業者が選択できる課税方式。
通常、一般課税より簡易課税が節税になる場合に簡易課税を選択する。また、簡易課税は、課税仕入れに係るインボイスの保存義務がないので、事務負担に不安がある法人が選択するケースもある。
簡易課税を選択すると、簡易課税用事業区分が追加表示されるので、業種区分と事業区分が正しいか確認すること。なお、事業区分に関しては国税庁のHPを参照してほしい。
注意事項として知っておくことが3つ。
・車両の購入や大きな設備投資がある場合は、簡易課税が損になるケースがある。
・簡易課税の選択は、その課税期間が始まる前に所轄税務署に届出書を提出する必要がある。
・いったん選択すると2年間は継続する義務がある
☐ 課税形式>原則課税
簡易課税を選択していない課税事業者が該当する。
なお、基準期間の課税売上高が5,000万円超の課税事業者は、仮に簡易課税の届出をしている場合でも強制的に原則課税が適用される点に注意が必要。
原則課税には一括比例配分方式と個別対応方式の2つの選択肢があるが、ここでの設定は税区分が増減するだけなので、個別対応方式を選択すればOK。
☐ 経理方式
経理方式は課税形式に合わせて設定するのが一般的。
私は以下の設定をしている。(理論的)
課税形式>免税事業者の場合、経理方式>税込
課税形式>簡易課税の場合、経理方式>税込
課税形式>原則課税の場合、経理方式>税抜(内税)
☐端数処理・消費税申告の計算方法
「端数処理」の設定は、次の「消費税申告の計算方法」の設定と密接に関連しているので合わせて説明する。
「消費税申告の計算方法」は、売上仕入とも「割戻し」を選択し、「端数処理」は、売上仕入とも「切り捨て」を選択するのが基本的な設定となる。
一方、年間販売件数が相当に多いスーパーマーケットなどの小売業は、「消費税申告の計算方法」は、売上仕入とも「積上げ」を選択し、「端数処理」は、売上は「切り捨て」、仕入は「四捨五入」を選択すると税制有利となる。ただし、売上仕入に係るインボイスの消費税額をそのまま積上げ計算しなければならないため、通常は専用の仕入販売システムを利用していると思う。
☐ 消費税率10%・軽減税率8%の利用制限
2019年10月から消費税率が8%から10%に引き上げられた。引き上げ後の税区分を引き上げ前の期間で利用することは通常ない。ここは「制限する」にチェックをいれて、制限をかけておいたほうがいい。
☐ インボイス経過措置の利用制限
2023年10月からインボイス制度が始まった。それ以前の期間に税区分インボイスに関して適格のチェックを外す必要はない。ここは「制限する」にチェックをいれて、制限をかけておいたほうがいい。
☐ インボイス経過措置の自動入力補完
ここは、各種設定>取引先で、取引先ごとにインボイス登録番号を設定し、仕訳登録時に取引先を登録している場合に関係する設定項目。そういう設定・運用をしている場合は「「適格」チェックボックスの自動入力補完をする」にチェックを入れると仕訳のミスを防げる。ただし、取引先ごとにインボイス登録番号を設定し、仕訳登録時に取引先を登録する運用は相当な事務負担が生じる。私自身は、取引先の機能自体を利用してないが、チェックが入っていても支障がないのでそのままにしている
(減価償却)
☐ 償却費の記帳方法
ここでは、固定資産台帳で作成される減価償却の仕訳方法を選択する。
端的に言えば減価償却累計額を利用するかしないかの違いで、直接法は利用しない方法、間接法は利用する方法のこと。通常は直接法を選択する。
私自身は、固定資産台帳の機能自体を利用してないが、チェックが入っていても支障がないので直接法にチェックをいれている
(メール設定)
ここの設定は、ユーザーの好みで設定すれば大丈夫。
新機能等のお知らせメール、口座情報の取得状況通知メールを受け取りたければチェックをいれる。
(CSV)
☐ 文字コード
マネーフォワードでは、各種帳票はCSVファイルでダウンロード可能。
事業計画書の作成ほか、CSVファイルをエクセル変換して利用する機会は多々あるので、
「Shift-JIS」を選択する。
(帳票設定)
☐ 貸借対照表(期間推移/残高試算表)
「資産の部・負債の部・純資産の部 ごとに改ページする」の機能があるが、
私はこの機能は使わないのでチェックを外している。
☐ 損益項目の名称・残高表示(決算書/残高試算表)
ここは、「A」を選択したほうが損益を視覚的に把握しやすいと思うので、私は「A」を選択している。
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