IT導入補助金2024インボイス枠(インボイス対応類型)はどういう事業者にメリットがあるのか?
2024年2月16日、IT導入補助金2024の申請受付が開始された。制度の概要は別の記事で紹介しているのでそちらを参照してほしい。
この記事では、IT導入補助金2024インボイス枠(インボイス対応類型)はどういう事業者にメリットがあるのかまとめてみたい。
申請要件
まずは、メリット以前の問題としてどういう事業者が申請可能なのか、申請要件のポイントを簡単にまとめてみる。なお、申請要件は公募要領で詳しく説明されているので必ず目を通してほしい。
申請対象
この補助金は、中小企業等(法人・個人)が申請対象となっている。ほとんどの事業者が該当すると思うが、公募要領に中小企業等の定義が定められているので、念のため、あなたの事業が該当していることを確認してほしい。
また、中小企業等のうち小規模事業者は補助率が4/5に上がるのであなたの事業が該当しているか要チェックだ。
納税証明書
この申請では納税証明書が添付書類の一つとなっているため、税務申告履歴が絶対条件となっている。つまり、開業したばかりの事業者がこの申請を行うことはできない、ということである。法人なら法人税の申告履歴、個人事業主なら所得税の申告履歴が必要である。
最低賃金要件
この申請には「交付申請の直近月において、申請者が営む事業場内の最低賃金が法令上の地域別最低賃金以上であること」という要件がある。
「主たる事業所における従業員の事業所内最低賃金」が「地域別最低賃金」以上でなければならないが、従業員には「正規雇用」「契約社員」だけでなく「パート・アルバイト」が含まれるので、「パート・アルバイト」を安く雇用している場合は要件に抵触することがある。
仮に、「事業所内最低賃金」が「地域別最低賃金」未満の場合は「交付申請の直近月」までに引き上げる必要がある。
「gBizID プライム」アカウント
この申請においては、「gBizID プライム」アカウント(ID・パスワード等)が必要となっている。
gBizID とは複数の行政サービスを利用することができる認証システムのことである。「gBizID プライム」アカウントは、デジタル庁HPから取得することができる。なお、gBizID プライムアカウントは申請から発行までおおむね2週間かかるので、早めの手続きが無難だ。
「SECURITY ACTION」の宣言
この申請においては、「SECURITY ACTION」の「★ 一つ星」又は「★★ 二つ星」の宣言が要件とされている。
SECURITY ACTION とは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する中小企業・小規模事業者等自らが、情報セキュリティ対策に取組むことを自己宣言する制度のことである。
「SECURITY ACTION」の概要は以下のサイトを参照してほしい。
https://www.ipa.go.jp/security/security-action/it-hojo.html
因みに、一つ星の宣言は簡単なので、これを機に宣言すればいいと思う。
以上にまとめた申請要件のポイントのほか、こまごまとした要件が公募要領に記載されている。甘受するほかない要件が多いが、必ず一通りは目を通してほしい。
どういう事業者にメリットがあるのか?
IT導入補助金2024インボイス枠(インボイス対応類型)を利用してマネーフォワードを導入する場合、どういう事業者にメリットがあるだろうか?
それは、ローカルPCに手入力して自計化している事業者がマネーフォワードに乗り換えるケースにメリットがある。例えば、弥生会計で自計化している事業者がマネーフォワードに乗り換えるケースが該当する。
重要なポイントは、今現在自計化していることである。
仮に、今現在、記帳代行を依頼している事業者がマネーフォワードに乗り換えた場合、記帳代行料や税務申告費用は補助対象経費に該当しないので、そういう事業者がこの補助金を利用してもメリットはほとんどない。
一方、今現在自計化している事業者がマネーフォワードに乗り換える場合、運用指導・操作指導に係る費用が補助対象経費となっており、最大4/5が補助される。弥生会計とマネーフォワードでは使い方が全然違うため乗り換えのハードルは極めて高い。そういう乗り換えのハードルを下げる目的でこの補助金を利用するのが効果的だ。
ここで、そこまでしてマネーフォワードに乗り換える必要はあるのか?と思われる方もいらっしゃるかもしれない。
私は、弥生会計とマネーフォワードの両方を業務利用しているが、体感的に、マネーフォワードの生産性は弥生会計より5倍程度高いと感じている。同じ記帳量なら1/5程度の時間で済み、同じ時間なら5倍の記帳量をこなせる感じである。今後、ベンダーサーバーなどハードウェアの性能が上がり、通信速度が速くなるとその差はもっと開くと思う。生産性は収入に直結するので、より生産性の高いマネーフォワードに乗り換える意義はある。
実際、政府は中小企業・小規模事業者の生産性を高める目的でこの補助金事業を実施し、クラウドサービスの利用を促進している。
この補助金を利用して生産性の高いマネーフォワードに乗り換えるのか、それとも生産性の低い会計ソフトを使い続けるのか、その経営判断があなたの生活レベルを左右するかもしれない。
結びに
この記事では、IT導入補助金2024インボイス枠(インボイス対応類型)に係る申請要件のポイントを簡単にまとめ、この補助金はどういう事業者にメリットがあるのか解説した。
私が主催するコンソーシアムはIT導入支援事業者に採択されており、マネーフォワードをITツールとして取り扱っているので、申請希望者をサポートすることが可能である。ご希望の事業者はお問い合わせからご連絡いただきたい。