経営の透明性を高める


財務戦略の重要な要素の一つは、経営の透明性を高めることです。経営の透明性を高めるとは、銀行に対して会社情報を適時適正に開示することを意味します。企業の信用力を高めるのが狙いです。

1、事業内容

銀行員は融資先企業のビジネスモデルを詳しく知りません。全ての銀行員は2、3年で異動を繰り返すのが常ですから、知りようがないのです。そのため、企業側から事業内容に関して積極的に発信していく取組みが必要となります。中小企業の資金調達力を左右する債務者区分において、定性評価の基礎となる情報でもあります。

  • 所属している業界の情報。業界全体の景況感と将来的な見通し。業界内での会社の地位。地域内での会社の地位。

  • 商品、サービスの内容。会社の顧客情報。仕入先の情報

  • 会社組織の情報(拠点数、拠点の場所、役員数、従業員数、組織図、所属団体、社史)

  • 経営者の個人情報(学歴、経歴、社会的地位、専門分野、所属団体)

  • 後継者の情報(学歴、経歴、社会的地位、専門分野、所属団体)

  • ビジネスモデルの強み、弱み

  • その他

ただし、会社競争力の源泉となっている具体的な機密情報に関しては、メイン銀行といえども開示する必要はありません。

2、財務内容

財務内容が融資判断の基礎となることは言うまでもありません。重要なのは銀行に開示する財務内容の「質」です。質の悪い財務内容を開示しても企業の信用力を高めることはできません。企業の信用力を高めるには、次に例示される「質」が担保された財務内容を開示する必要があります。

  • 利害関係者へ財務内容を適正に開示する目的で会計処理・決算処理を実施することがコミットされていること(適正申告納税の目的に留めないこと)

  • 会計処理・決算処理が組織的に行われていること(担当者、決裁者、会計専門家の職務分掌)

  • 会計処理・決算処理の手続きがマニュアル化されていること

  • 会計処理・決算処理の正確性(手続き、金額など)

  • 会計処理・決算処理の妥当性(期間帰属、会計科目など)

  • 会計処理・決算処理から恣意性が排除されていること

  • 会計処理・決算処理が迅速に行われていること(コンピュータと会計ソフトの利用)

  • 会計専門家の監査を受けることで、会計処理・決算処理の正確性・妥当性を担保していること

開示された財務内容の質が高く、財務内容も良好であれば企業の信用力は高まりますが、財務内容に問題がある場合は、その問題点の経緯、理由、対策など、銀行が納得できる説明が必要となります。

3、業績の将来的な見通し

銀行は、直近の財務内容だけでなく、業績の将来的な見通しを含めて融資判断の根拠とします。融資は将来的なキャッシュフローで返済されるからです。中小企業は、不確実な将来に関して、正確で説得力のあるビジョンを示さなければなりません。

企業の信用力を高めるには、経営の透明性を高めることが重要です。そのためには開示する内容、方法、時期を精査した企業情報の開示が必要です。