自己査定の手順


銀行が保有している中小企業向け債権の「自己査定」は次の手順で行われます。

1.債務者である中小企業の財務データを分析し、破綻確率(デフォルト確率)を推定します。
2.推定された破綻確率(デフォルト確率)に応じて債務者格付(10段階程度)を行います(一次評価)
3.業種や特性などの定性要因(成長性、参入障壁、営業基盤、技術力など)を加味してノッチ調整を行い、最終的な債務者格付を行います。
4.債務者格付に応じて債務者区分(正常先、要注意先、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先)を行います。

5.債権のうち、正常先及び要注意先の「正常な運転資金」など「分類対象外債権」をⅠ分類とします。
6.分類対象債権に関して、債務者区分に担保や保証等による保全状況を加味して、債権を分類(Ⅰ分類~Ⅳ分類)します。
7.Ⅰ分類された債権は正常債権として扱い、1%未満の貸倒引当金を計上して自己査定します。
8.Ⅱ~Ⅳ分類された債権はリスク管理債権として扱い、30%~100%の貸倒引当金を計上して自己査定します。

銀行には、下記の理由で、Ⅱ~Ⅳ分類される不良債権を持ちたくない、あるいは、極力減らしたいというインセンティブが働きます。

・Ⅱ~Ⅳ分類された不良債権はリスク管理債権額として開示が義務付けられており、信用を維持するために減らしたい
・自己資本比率算定においてリスク管理債権も分母を構成するため、自己資本比率を少しでも下げないために減らしたい
・貸倒引当金の計上は自己資本を直接減らしてしまうため、自己資本比率を維持するために減らしたい

そのため、銀行は債務者格付の低い中小企業に対する融資に慎重にならざるを得ないのです。逆に言えば、銀行から融資を受けるにはデフォルト確率を低く推定してもらうしかありません。債務者格付を上げて債務者区分を正常先としてもらうためです。そのためには財務データを良好に保つ必要があるのです。