経営理念を設定する目的


事業計画を立てる時に「まずは御社の経営理念を書いてください」と言われて困ったことはありませんか?私は、ある銀行の勉強会で非常に困ったことがあります。私は、経営理念の下に事業を始めた訳ではなく、経営理念に共感して経営者を引き受けた訳でもありませんでした。実際、経営理念がなくても会社経営に支障はありませんでしたし、経営理念の必要性すら感じていませんでした。

中小企業庁が発行しているマンガ冊子「今すぐやる経営革新 平成25年度版中小企業新事業活動促進法」の3ページにも「会社の経営者であれば経営理念というものを誰でもお持ちでしょう。それを書いてみましょう」という吹き出しがあります。私は経営者でしたが、経営理念を持っていませんでした。勉強会へ参加していた大半(全員?)の若手経営者も持っていない様子でした。「経営理念がなければ考えてください」と指導されたものの、経営理念を設定する目的がわからなければ考えようもありません。講師に質問しても腑に落ちる回答は返ってきません。もともとこの勉強会への参加はお付き合いの意味合いが強く、事業計画の作成自体はお手の物だった私は、さっさとこの勉強会をやめてしまいました。事業計画の策定は経営革新に有効な手段だと思いますが、その入り口でつまづいてしまうのは勿体ないことです。

経営理念 = お題目 = 念仏

経営理念はお題目であり念仏である、そう理解すると全てがすっきりします。お題目とは日蓮宗の「南無妙法蓮華経」のことで、「一心に仏を信じ、お釈迦様の知恵と慈悲の功徳を信じる」という意味です。念仏とは浄土宗の「南無阿弥陀仏」のことで、「一心に阿弥陀仏を信じる」という意味です。意味以上に重要なことは、お題目も念仏も唱えなければならない、ということです。唱えれば自分の信仰が人に伝わります。他人の信仰もわかります。同じ信仰であれば親近感や連帯感が生まれるのは自然なことです。宗教本来の目的とは別の、親近感や連帯感を生む効果がお題目や念仏にはあるということです。

経営理念  社内の連帯感・取引先の親近感

企業経営には必ず多くの人が関わります。社内には社員がいますし、社外には取引先がいます。事業計画を推進していく際に、社内の連帯感が強いほど困難を乗り越えられる確率は高まります。また、取引先の親近感(理解・協力)があればなおさらです。社内の連帯感を強め、取引先の親近感(理解・協力)を高めるという観点が、経営理念を設定する際の一つの拠り所となります。