リカードの比較優位論と中小企業の存在意義


今までは国家間の貿易に関して解説してきましたが、リカードの比較優位論は企業間の取引にも応用できます。

企業は比較優位な財・サービスの生産に経営資源を集中させ、それ以外の財・サービスを他の企業から調達したほうが、より多くの財・サービスを消費することができます。つまり生産性(利益)が向上します。調達する財・サービスは絶対劣位にあるものだけでなく、絶対優位にある財・サービスにも当てはまります。

大企業は自社で生産調達できない(絶対劣位な)財・サービスを協力業者から調達するだけでなく、自社で生産調達できる財・サービスも協力業者から調達するほうが、生産性(利益)を向上させることができます。たとえ、自社で生産したほうが効率的(絶対優位)な場合でも、です。

協力会社は、大企業が自社で生産調達できない財・サービスを提供する場合だけでなく、大企業が自社で生産調達できる財・サービスを提供する場合でも、大企業の生産性(利益)向上に貢献しています。たとえ、大企業が自社で生産したほうが効率的(大企業に対して絶対劣位)な場合でも、です。

中小企業が自社の比較優位な事業に特化し、経済活動に参画すれば、自社がより豊かになるだけでなく世の中をより豊かにすることができる、それを証明しているのがリカードの比較優位論です。中小企業の絶対的な生産性には関わらず、です。

このことは個人についても当てはまります。個人が自分の比較優位な仕事に特化し、経済活動に参画すれば、自分がより豊かになるだけでなく世の中をより豊かにすることができます。個人の絶対的な能力に関わらず、です。

現在の厳しい競争社会では、自社の存在意義や自分の存在意義を見失いがちです。しかし、御社や貴殿が経済参画している分だけ世の中はより豊かになっています。経済参画しているすべてのプレーヤーに感謝の念を抱かせてくれるのがリカードの比較優位論です。