
債権者である金融機関は、保証債務の履行に当たり、保証人の手元に残すことのできる残存資産の範囲について、以下のような点を総合的に勘案して決定します。
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保証人の保証履行能力や保証債務の従前の履行状況
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主たる債務が不履行に至った経緯等に対する経営者たる保証人の責任度合
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経営者たる保証人の経営資質、信頼性
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経営者たる保証人が主たる債務者の事業再生、事業清算に着手した時期等が事業の再生計画等に与える影響
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破産手続における自由財産の考え方や、民事執行法に定める標準的な世帯の必要生計費の考え方との整合性
上記4.に関連して、以下のような要件を充たす場合は、破産手続おける自由財産に加えて、一定期間の生計費に相当する現預金や華美でない自宅等を、経営者たる保証人の残存資産に含めることを検討することとされています。
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経営者たる保証人が、主たる債務者である中小企業の事業再生の実効性を高めるために、早期に事業再生等に着手した場合。経営者が事業継続する場合や新規事業を開始する場合だけでなく、経営者を退任する場合や新規事業を開始しない場合も含まれる
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債権者である金融機関にとっても一定の経済合理性が認められる場合
一定期間の生計費に相当する現預金は、以下の雇用保険の給付期間の考え方を参考にします。1か月当たりの生計費は、33万円が想定されています。(クリックで拡大)
破産手続における自由財産とは以下の通りです。
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債務整理の申出後に新たに取得した財産
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家財道具等の差押禁止財産
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現金(99万円)
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実務的に自由財産の範囲の拡張が認められる財産
保証人は、安定した事業継続のために必要な一定期間の生計費に相当する額や華美でない自宅等について残存資産に含めることを希望する場合は、その必要性について、債権者である金融機関に説明することとされています。